またまたご無沙汰しております。
今回は、がん治療を経験した方の声から思ったこと、考えたことをお伝えします。
西日本新聞の配信記事(5月3日)に
”「何でまた」3度目のがん発症に泣いた 職場に遠慮、仕事辞めるしか…治療と両立の鍵は”
という記事があります。
在職中にがんを発症した方や、再就職に苦労なさった話など、『治療』というキーワードには不妊治療とも少し、重なる面があります。不妊治療においても、休みを取らなければいけなかったり、周囲に見通しを伝えづらいという要素があります。
不妊治療を行っている、近くにある医療機関が午前中しか診療していないため、パート勤務を希望しているが、そうなるとなかなか見つからないという声も聴くことがあります。
『治療』を受けながら働くということは、簡単なことではないのだと実感します。
がんの治療中の方々は、それでなくとも不安があったり、心配なことも多い中、仕事をどうしていったらいいかを考えるわけですから、なおのこと、大変だと感じることも多いのではないかと考えています。
今回紹介している記事にも、そうした大変さを伝える内容が掲載されていますが、『治療』と今後を考えるうえで、不妊治療を受けている皆さんにも、そして、企業の皆さんにも役立ちそうな内容があり、なるほど、その通り!とうなづきました。
それは、
求職活動で壁となるのは、治療歴を明かすかどうか。通院回数や副作用には個人差がある。谷屋さんは本人に任せている一方、経過観察中であることを隠して就職した人が再発して休みがちになり、解雇された例も知っている。
谷屋さんは「がんを明かして就職できた人に共通するのは、意欲やスキルの高さはもちろんだが、がんにどう向き合い、今どんな状態にあるかを会社側に分かりやすく的確に説明できる人。自己理解の有無が鍵になる」と話す。】
という部分です。
できるだけ、在職中の人は早まってやめないで、という呼びかけをしつつも、退職した後の再就職に関して、上記のアドヴァイスを話してくださっています。
やむを得ず、その時の判断で退職することはあります。治療に十分に時間をかけるため、退職が必要な場合もあると思います。その時の自分の、精いっぱいの判断ですから、その決断は支持されるべきだと思います。
しかし、その、精いっぱいの決断が、後から後悔につながるようなことにだけは、なってほしくないとも思うのです。
では、どうしたらいいのか?それがわからなくて、それが見えてこなくて、また不安や心配を抱えてしまうこともあるかもしれません。
”がんにどう向き合い、どんな状態にあるかを会社側にわかりやすく的確に説明できる人”が、がんのこと、がんの治療の経験を伝えつつも就職できている、ということ。
企業の方々が、みな、がんという病に精通しているわけではないわけで、求職者がしっかりと自分の状態を理解していて説明してくれ、仕事をする上でどんなことができ、どんなことは難しいのかを教えてくれることで、企業が何ができるかも見えてきて、そらなら、わが社で働くことも可能だろう、と判断できる。それが、就職につながるのだろうと思いました。
不妊治療の領域も、この点については同じことが言えそうです。
不妊治療に関して、初めから詳しい人はいません。企業の中で働く方々は、仕事の中では接する機会も少なく、情報を得る機会も少ないのが実情だと思います。
この点を少しでも理解してもらうこと、知ってもらうことで、現実的に「働く」ための工夫も生まれてくると思います。
不妊治療を受けながら働き続けたいと考えている方が、少しでも治療と仕事の両立がしやすくなるようにお手伝いしたいと思っていますが、治療を受けている方々がご自分の状況や思いを周りにいる方々に理解してもらうための、自己理解を進めるお手伝いもしていけたら、という考えも浮かんできました。
リプロダクティブ・ヘルス・サポートの取り組みに、また一つ、付け加えたいものができました。