本事業を始めた思いとは

なぜ、今、社員の不妊治療支援か?               生殖心理カウンセラーである「私」が始めた理由。

 ここでは、少しテイストを変えて、本事業を始めた思いをお話します。

 

 社員の不妊治療支援は、実は一部の企業では、すでに開始しています。ですから、すでに導入済みの企業の皆様からすると、「なぜ、今?」「なぜ、カウンセラーが?」と思われるかもしれません。

 

 そこには、「私」なりの、理由、きっかけがありました。

 

☆高校生で婦人科デビュー。でも、悩みを相談できる場・人がいない。

 ちょっと、びっくりされたかもしれません。

 

 念のためお伝えしますと、あくまでも「婦人科」デビューです。

 

 生物学的に女性が成熟していけば、いずれは月経が発来し...という知識。これは保健体育や生物の授業などで学びます。

 しかし、そのときに身体にどんな変化が生じるか、場合によっては体調が悪くなることもある、ということは、話題になることはありません(少なくとも、私が学生のときには)。

 

 その、”話題にならない”不調が、私を悩ませることになります。

 

 そして、その”不調”は、どうやら友人たちの身には起こっていないらしい..。

 たまに、具合の悪さを訴えることはあっても、毎月ではない。

 

 婦人科で処方される薬によって、どうにか体調を整えて学生生活を送っていましたが、服用しなければ同じこと。

 いつまでこんなことが続くのか、先の見えない不安や、困っていることを伝えてもわかってもらえない不満を抱えるようになりました。

 

☆「私」が相談できる人、場所になれたら...。

 社会人になっても、それは続きます。

 

 加えて、自分なりに婦人科の病気について調べる中で、医療への疑問、不妊治療との関係、相談できる場所がないこと、などを知り、次第に、自分がそういう相談ができる人、場所になれたら、という思いがわいてきました。

 

 その時期は、全国的に女性専門外来が開設され始め、産科や婦人科にカウンセラーが少しずつ配置され始めた時期と重なります。しかし、どのようにしたら、自分がやりたいことができるのか、まだ見えてはいませんでした。

 

 しかし、そうした中でも、大学院で不妊治療を受ける女性の心理について研究するなどして準備を整え、ついに、不妊治療専門クリニックへ就職することができました。

 念願の場所での仕事。自分にできるだろうか、と不安も沸いたことを覚えています。

 

☆不妊治療専門クリニックを巣立って

 4年間、不妊治療専門クリニックで生殖心理カウンセラーとして勤務しましたが、体調を崩したのをきっかけに、地元に戻ることにし、退職しました。

 

 いったんは、不妊治療の現場から離れましたが、生殖心理カウンセラーの仲間からの呼びかけがあり、地元・岩手県で、2010年に不妊治療専門のカウンセリングルームを開設しました。通院先にカウンセラーがいない、あるいは、通院していないけれども悩んでいる、という方など、さまざまな立場の方が自由に相談できる場が必要、との思いがありました。

 また、通院先のカウンセラーには言いにくい、という方もいることを知り、フリーアクセスできる場が必要、と考えたことも、カウンセリングルームを開設した理由のひとつです。

 

☆そして、社員の不妊治療支援=リプロダクティブ・ヘルス・サポートへ

 不妊治療専門クリニックでカウンセリングをしていたときから、そして、カウンセリングルームでのカウンセリングでも、クライエントの相談を受ける中で、気になっていることがありました。

 

 「治療をするなら、仕事はやめたほうがいいでしょうか?」

 「通院の時間を確保するため、パート勤務できるところに転職しました。前の会社も、仕事も大好きだったのに...。」

 「上司や同僚に迷惑をかけていると思うと、申し訳ない。でも、治療費のこともあるので、やめられない。」

 

 仕事と不妊治療の両立に関する、さまざまな悩みが話題になる都度、どうしたらいいのか、カウンセラーとして一緒に悩んでいました。

 

 私が最初に不妊治療の現場でカウンセリングをしてから、10数年が経ちますが、この悩みは全く減りません。企業の中には、支援策をとり始めたところがありますが、それでも、減ってはいないのが現状です。

 

 こうした現状に、私はカウンセラーではありますが、「生殖心理カウンセラー」だからこそ、できることがあるのでは?

 不妊治療の内容や不妊治療を受ける方々の心理などを理解した上で、クライエントの皆さんが抱える悩みを企業の皆様に届け、かつ、企業の皆様の事情や考えを整理して社員の皆さんへの支援策を考え、『社員と企業の橋渡し』ができるのではないか?

 そういう思いがわきあがってきました。

 

 「治療のためと思ってのことだけれど、仕事をやめて後悔している」というクライエント。一人二人ではありません。

 その背後には、「せっかく育てた社員に辞められて残念。何かできたのでは、と後悔している」企業様もあると思います。

 

 社員も企業も後悔しない。

 せっかく同じ目標を持って働き出した仲間を失うことなく、共に前進していく場所づくり。

 

 そういう意味でも、「私」が今、社員の不妊治療支援に取り組むことには、意味があると思っています。

 

 ぜひ、サポートさせてください。

 

                                               妊活サポート・アドヴァイザー

                                               生殖心理カウンセラー / がん・生殖医療専門心理士

                                                  臨床心理士           星山千晶